まささん、映画「地獄の黙示録」を語る

1970年代アメリカ映画
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1970年代アメリカ映画の思い出㉙(私の映画体験㊱)

地獄の黙示録

 今回は1979年制作のフランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」です。ヴェトナム戦争におけるアメリカ軍の狂気を描いたコッポラ監督の力作です。監督自身「ヴェトナム戦争そのもの、観客に戦争をリアルに体験してもらう。」と述べていますが、発表当時、アメリカでは、ハリウッドの最高傑作か、最大の愚挙か、賛否両論を巻き起こした問題作です。

 あらすじは、1960年代後半、アメリカ軍のウィラード大尉(マーティン・シーン)が、ジャングルの奥地に私兵による「王国」を築いた元特殊部隊のカーツ大佐(マーロン・ブラント)を暗殺するよう命じられ、仲間とともに川を遡ります。途中、村を流れる大河でサーフィンをするために無数のヘリコプターで農村を奇襲するキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)やこうこうと明かりの灯った舞台にヘリコプターから降り立った「プレイメート」に狂喜乱舞する兵士など戦場に持ち込まれたアメリカの文明に遭遇しながら、カーツ大佐の王国にたどり着きます。紆余曲折を経てウィラード大尉はカーツ大佐を無事暗殺しますが。さて、王国はその後どうなっていくのでしょうか。・・・・・・

 鮮やかな色彩や光と闇の映像美にあふれるこの映画の撮影は、「映像の魔術師」と呼ばれたヴィットリオ・ストローラ。彼は「ヴェトナムの自然の光とアメリカの人工の光を対比させ、二つの文明の衝突を対比的に描いた。」と言っています。朝日に輝くジャングルは、炸裂するナパーム弾で、一瞬のうちに火の海と化します。一方、夜の戦闘で打ち上げられる照明弾や銃撃戦の火花が、美しくとも破壊的な「文明の光」を象徴します。この光と闇のコントラストが、効果的に演出されます。
 確かに映画前半はワーグナーの「ヴァルキューレ」の音楽に乗ってのヘリコプター部隊の出撃の場面などテンポよく進みますが、後半のカーツ大佐の東洋哲学風のおしゃべりのシーンは、ちょっと間延びして評価の別れるとこですが、しかし、コッポラ監督が「ゴットファザー」の利益のすべてを、また家を抵当に入れてまでこの作品を作りたかった意図はよくわかるような気がします。ヴェトナム戦争は、アメリカの「文明」をジャングルに持ち込んだ戦争であり、しかしその狂気の攻撃も、結局は深い森と異文化に飲み込まれてしまったのでした。

 地獄の黙示録は、U-NEXTの無料トライアルで全編視聴可能です。

 1970年代のアメリカ映画シリーズは、この作品でひとまず終了といたします。まだまだお話ししたい映画もあるのですが・・・ここいらでちょっと趣を変えて、1970年代のヨーロッパ映画のお話をしたいと思っています。またアメリカ映画とは違った良さをお話しできれば。こうご期待。

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