まささん、映画「フレンチ・カンカン」を語る。

ミュージカル映画・音楽映画の歴史
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ミュージカル映画・音楽映画の歴史18(私の映画体験97)

フレンチ・カンカン(French cancan)を語る

初めに

 今回は趣を変えてフランス映画をご紹介しましょう。その映画は1954年制作のジャン・ルノワール監督の「フレンチ・カンカン」です。

 ルノワール監督と言えば、フランスを代表する監督で、「どん底」(1936年)、「大いなる幻影」(1937年)などでも有名です。

 主演のジャン・ギャバンもフランスを代表する俳優で、この映画制作時50歳、なにも演技をしなくてもスクリーンに立ってるだけで、存在感のあるすごい俳優ですね。私の大好きな俳優の一人です。ルノワール監督とは、「どん底」「大いなる幻影」でもコンビを組んでいます。

 ルノワール監督は、第二次世界大戦のナチスドイツのフランス侵攻時にパリを逃れアメリカに亡命します。15年ぶりにフランスに帰った第一作目の製作がこの映画です。この映画はパリの名物キャバレー「ムーラン・ルージュ」開業のエピソードを綴った映画です。(史実とはだいぶ違うようですが。)エディト・ピアフなど多くのシャンソン歌手も特別出演して歌を披露しています。フランスのエスプリがいっぱい詰まったこの映画をご堪能ください。

あらすじ

 キャバレーの所有者ダングラール(ジャン・ギャバン)は、町のダンスホール「白い女王」で踊っていた二二(フランソワーズ・アルヌール)のその斬新なダンスに魅了されます。そのダンスを売りものに新しいキャバレーを開業しようと自分のキャバレーを売って、「白い女王」を買い取ります。開業までの多くの苦難。元のキャバレーのスターローラ(マリア・フェリックス)と二二の衝突、出資者の援助打ち切りなど多くのエピソードをはさみながら映画は進みます。

 ようやく二二に思いを寄せる某国王子の協力で開店にこぎつけます。映画の残り30分、「天国と地獄」のメロディーにのってフレンチ・カンカンが披露されるクライマックス。客席のあちこちから踊り子たちが湧き出てホール狭しとカンカンを乱舞します。お客たちは大歓声を上げ、店は興奮のるつぼと化します。新しい歴史が始まったのです。

「ベル・エポック」という時代

 1889年フランスでは、フランス革命100年を記念して万国博覧会が開催されます。エッフェル塔が立てられたりしたこの年、「ムーラン・ルージュ」も開業します。普仏戦争の痛手から立ち直りつつあったフランスでは、目覚ましい経済発展を遂げ、文化が円熟期を迎え、新しい芸術運動が花開き、自由で創造的な空気があふれていました。「花の都パリ」「芸術の都パリ」と言われた時代。この年から第一次世界大戦までのパリを「ベル・エポック」と言います。

 活気にあふれているパリは多くの芸術家を引き付けます。若き日のヘミングウェイ、ピカソ、ユトリロ、モディリアーニ、ロートレックなど。ロートレックと言えば「ムーラン・ルージュ」のポスターが有名ですね。ラ・グリュという当時人気の踊り子が、スカートを巻き上げ、足を大きく上げて踊っているポスターは、町に貼られていたほとんどが持ち去られてしまったというほど、人気を呼んだそうです。

 映画で言うとリュミエール兄弟が映画を発明し、メリエスが「月世界旅行」というSF映画の古典的名作を作ったのもこの時代。

 画家のオーギュスト・ルノワールを父に持ち、1894年に生まれたルノワール監督にすれば多感な少年、青年時代を過ごし、文化的な影響を多く受けた時代だったのでしょう。

 第二次世界大戦の惨禍に見舞われたパリの町に対する愛に満ちた彼の思いが伝わってくるような気がします。その匂い立つようなパリの当時の雰囲気を十分感じさせてくれる映画です。

フレンチ・カンカンが見れる動画配信サービス

 フレンチ・カンカンは、Amazon prime videoで見ることができます。

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