まささん、映画「真夜中のジャズ」を語る

ミュージカル映画・音楽映画の歴史
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ミュージカル映画・音楽映画の歴史35(私の映画体験113)

真夜中のジャズ(Jazz on a Summer’s Day)を語る

 今回ご紹介するのは、1959年制作、バート・スターン監督の「真夜中のジャズ」です。バカンス地で有名なロードアイランドのニューポートで開かれた第5回ジャズフェスティバル(1958年開催)の模様を記録したドキュメント映画です。

 半世紀ぐらい前になりますか、当時ジャズの好きな友人に「ジャズが好きならこの映画を観なくちゃ」と言われ、それ以来ずっとどこかで上映するのを待っていました。二十歳前後の頃、加古川か、姫路かどちらかは忘れましたが、名画座で上映されるのを知り、観に行ったのを憶えています。苦労して観に行っただけのことはある素晴らしい映画でした。そういう意味では私のとって記憶に残る映画の1本です。

あらすじ

 あらすじと言っても特になく、多くのミュージシャンが順番に演奏するのを撮っているだけなんですが、その演奏の間にニューポートの街の風景や、行われているイベントの映像を挟んでいます。(この映像がまたきれい。)出演者は、セロニアス・モンク、ジョージ・シアリング、ジョー・ジェフリー、チコ・ハミルトン、チャック・ベリー、アニタ・オディ、ダイナ・ワシントン、ルイ・アームストロング、マヘリア・ジャクスンなどそうそうたるメンバーです。

 監督は当時雑誌「ライフ」や「エスクアィア」など商業フォトとして活躍していたバート・スターン。演奏家の迫真の演奏をいろんなアングルから美しく、そして迫力ある映像を私たちに見せてくれます。彼は後にエリザベス・テーラヤマドンナなどの写真を撮り、商業フォトの大御所となっていきます。

そうそうたるミュージシャンたち

 出演しているミュージシャンたちの主な者をご紹介しましょう。先ずは女性ジャズシンガーのアニタ・オディ。ハスキーボイスでジャージーな歌声を聞かせてくれます。ジャニス・ジョップリンもそうですが、どうも私は此の手の声が好きなようで、女性のハスキーな歌声が聞こえてくるとすぐに誰が歌っているか気になります。まあ、好みの問題ですけどね。

 次にロックン・ローラ―のチャック・ベリー。かれはビートルズや、ローリングストーンズ、ビーチボーイズなどに大きな影響を与えた言われてますが、確かにこの映画での演奏スタイルは、初期の頃のビートルズそっくり。そう言われているのもうなずけます。

 お次はルイ・アームストロング。相変わらずのスイング・ジャズを演奏します。私がこの映画を観たのは1970年代。この映画ができてから10年以上が経ち、ジャズもマイルス・デイヴィスらによってすでに次の段階に進化していましたが、この映画の演奏を聴くとやはり彼がジャズの基本のきであることがよく分かります。やはり偉大な人ですね。

 そしてゴスペル(黒人霊歌)の女王マヘリア・ジャクソン。私はこの映画で、初めて彼女の歌声を聴きました。その迫力のある歌声には、本当に感動させられました。ジャズやブルース、そしてこの映画を見た1970年代に流行っていたソウルミュージックなどにも通底する黒人音楽のルーツのようなものを感じさせてくれます。とにかく一度聞いてください。素晴らしいですよ。

彼ら、彼女らの演奏は素晴らしく、何度聞いても飽きることのない永遠の響きだと言えるでしょう。

 ということで、1950年代のミュージカル・音楽映画の紹介は終わりです。いよいよミュージカル映画の黄金時代と言われている1960年代に突入します。

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