まささん、映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」を語る

1970年代ミュージカル・音楽映画
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1970年代のミュージカル・音楽映画の思い出⑰(私の映画体験70)

ジーザス・クライスト・スーパースター (Jesus Christ Superstar) を語る

初めに

 この映画をご紹介できるのを嬉しく思っています。今回は、1973年制作のノーマン・ジュイソン監督の「ジーザス・クライスト・スーパースター」です。私の大好きなミュージカルの中でも5本の指に入るぐらい大好きな映画です。(ナンバーワンかもしれない。)いろいろな面でミュージカル映画に革新をもたらした映画です。作曲はアンドリュー・ロイド・ウエバー、作詞はティム・ライス。後にミュージカル界に大旋風を巻き起こす二人のデビュー作です。その意味でも記念碑的な作品です。

あらすじ

 この映画は、新約聖書に基づきイエス・キリストの最後の7日間を描いています。
物語は、紀元前30年頃のローマ帝国領のパレスチナ。ユダヤの王ヘロデ、ローマ帝国総督ピラト、ユダヤ教大司祭のカヤパの三重支配よる圧政に民衆は苦しみ、救世主の出現を望んでいました。そこに新しい教えを説く大工の息子イエス・キリスト(テッド・二ーリー)が現れ、人々は彼を神と崇めます。しかし、彼自身は自分の人気に苦しみ、彼を一人の人間の男として慕うマグダマのマリア(イヴォンヌ・エリマン)や友人として彼の将来を心配するユダ(カール・アンダーソン)を中心にして物語は進んでいきます。イエス・キリストの異常な人気に恐れを抱いたカヤパたちは彼を亡き者にしようと画策します。そしてユダの裏切りで捕らえられ、ユダは自分が師を売ったことに絶望して自殺します。そしてイエス・キリストは十字架にかけられます。

名曲の数々

 曲は名曲ぞろいです。まず、オープニングに荒涼とした砂漠を背にユダが”彼らの心は天国に”を歌います。ロックのビートでイエス・キリストの今の現状を心配するユダ。そして今やスタンダードナンバーになっているマグダラのマリアが歌う”私はイエスがわからない”このメロディはユダが自殺するときユダによって改めて切々と歌われます。軽薄なヘロデ王が歌う”ヘロデ王の歌”。イエス・キリストの処刑を求める群衆と処刑したくないピラトとのコールアンドレスポンス。イエス・キリストが理想と現実のはざまで苦悩し、死を受け入れることを決意する”ゲッセマネ”。刑場に引かれていくイエス・キリストに対してユダが歌う主題歌”スーパースター”。どれも素晴らしい。特に私が好きなのは、イエス・キリストが捕まえられた後にマグダラのマリヤと使徒たちが歌う”やり直せないかしら”。その心情が胸に迫ります。

「ジーザス・クライスト・スーパースター」の革新性

 この作品は、まず二枚組のレコードアルバムとして発表されます。これが米英で300万枚の大ヒット。その反響が注目され、コンサート形式で全米ツアーが行われます。これも各地で熱狂的な支持を得て、ブロードウェイに進出します。地のセリフがなく、物語はすべて曲によって進行していきます。ロックオペラと言われる所以ですが、これ以降、この形式が増えていきます。ミュージカル「レ・ミゼラブル」なんかもそうですね。また、イエス・キリストを「神」ではなく、人間として描いた作劇も衝撃的でした。イエス・キリストと彼を取り巻く人間たちの心を見事に表現していました。
 最後に一つ。このミュージカルは、劇場そのものにも大きな変革を及ぼしました。それまでの劇場は、オーケストラの演奏を前提としており、ロックのような大音響の音楽は想定していませんでした。このミュージカルの上演のため、劇場の音響スタッフたちは幾多の困難を乗り越えて上演にこぎつけました。その辺の過程は、宮本直美著「ミュージカルの歴史」(中公新書)に詳しく書かれていますが、とにかく多くの技術者たちの努力のおかげで、今やあらゆるジャンルのミュージカルを私たちは観ることができるようになりました。

 いろんな意味でミュージカル史上に残る映画と言えると思います。ぜひ、一度ご覧ください。お勧めします。

ジーザス・クライスト・スーパースターが見れる動画配信サービス

 ジーザス・クライスト・スーパースターは、Amazon Prime Videoで見ることができます。

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