まささん、映画「ジュリア」を語る

1970年代アメリカ映画
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1970年代アメリカ映画の思い出㉔(私の映画体験㉛)

ジュリア

 今回は、1977年制作のフレッド・ジンネマン監督の「ジュリア」です。「地上より永遠に」や「わが命つきるとも」などの作品で知られる名匠ジンネマン監督が、人間の尊厳を追求し続け、また社会の変革に命をささげた二人の女性の信念を貫いた生き方を美しい映像とともに描いた作品です。二人の女性には、アカデミー賞主演女優賞を2回受賞しているジェーン・フォンダーとアカデミー賞、トニー賞、ゴールデングローブ賞などの主演・助演女優賞受賞の常連、ヴァネッサ・レッドグレイヴ。二人の名優が見事な演技を私たちに見せてくれます。ファシズムに立ち向かった新しい時代の女性たちの物語です。

 あらすじは、靄に包まれた沼で一人釣り糸をたれている劇作家として有名なリリアン・ヘルマン(ジェーン・フォンダー)。その晩年の回想シーンから物語は始まります。彼女の胸に去来するのは、作家ダシール・ハメット(ジェイソン・ロバーズ)と暮らした愛の日々。そして、大学時代からの親友で美しく気高い親友ジュリア(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)への思い出です。ドイツでナチスが台頭した1930年代、反ナチの闘士としてその渦中に身を投じたジュリアとの友情を縦軸に、愛し合ったハメットとの生活を横軸に物語は、展開していきます。映画の前半はハメットとの愛の生活を描き、後半は、1937年フランス滞在中のリリアンのもとにある男が訪れ、現金5万ドルをナチス統治下のベルリンにいるジュリアのもとに運んで欲しいと頼まれます。リリアンはそれを引き受けます。物語の後半はサスペンスです。さて、リリアンは無事現金をジュリアのもとに届けられるでしょうか・・・・・・

 自らも反ナチ、反体制を貫いたジンネマン監督の人生における集大成ともいわれる作品です。二人の女優もジェーン・フォンダーはヴェトナム反戦運動の活動家。ヴァネッサ・レッドグレイヴも精力的なパレスチナ擁護の活動家。この映画で彼女はアカデミー賞助演女優賞を受賞するのですが、その受賞スピーチでユダヤ人防衛連盟を批判し、ファシズムと戦う決意をぶち上げます。会場はブーイングと喝采で騒然となります。会場外でも支持者と反対派が衝突して、負傷者や逮捕者がでる騒ぎとなったそうです。また、ハメット役を演じたロバーズは前年制作の「大統領の陰謀」に引き続き二年続けてアカデミー賞助演男優賞を受賞します。

 ともかく、政治的信条をかたく持った監督と二人の女優による強い思いの伝わってくる映画です。

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