まささん、映画「ディア・ハンター」を語る

1970年代アメリカ映画
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1970年代のアメリカ映画の思い出㉖(私の映画体験㉝)

ディア・ハンター

 今回は1978年制作のマイケル・チミノ監督の「ディア・ハンター」です。アメリカが敗北し、1973年にパリ和平協定が結ばれたベトナム戦争。終結後5年がたち、ようやくアメリカ映画界にもこの戦争をいろいろな思いから総括する動きが出てきます。これはそのうちの一本で、チミノ監督を一躍有名にし大変評判を得た映画です。アカデミー賞でも作品賞、監督賞など5部門を受賞しました。現在のアメリカを理解するのにもぜひ見ていただきたい映画です。

 あらすじは、ペンシルヴェニア州クレアトンの製鉄所で働くマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ヴォーケン)、スティーブン(ジョン・サヴェージ)。仲の良い三人は余暇に鹿狩りをしたりして平穏な生活を送っています。その三人がニックの恋人リンダ(メリル・ストリープ)や職場仲間、故郷の人々の盛大な見送りを受けてベトナムに出征することになります。戦場で捕虜になった3人は頭に銃を向ける「ロシアン・ルーレット」のゲームを強要されます。(このシーンは世界の衝撃を与え、多くの議論を巻き起こしました。)危機からようやく脱出した三人でしたが、ニックは軍を脱走しベトナムに残ります。スティーヴンは両脚を失い、人目を避けて病院に閉じこもります。二年後にマイケルだけが故郷に帰ります。軍服姿で故郷の街に帰ってきたマイケルはその夜、仲間たちが開こうとしていた歓迎会を横目に一人でモーテルに泊まり、翌朝、自宅に戻ります。「ウエルカム・ホーム・マイケル」の横断幕をじっと見つめるマイケル。その背後には務めていた製鉄所がそびえています。マイケルは再び鹿狩りに出かけます。鹿が現れてもマイケルは鹿を撃つことができません。「これでいいんだ。」とマイケルはつぶやきます。そこには以前と変わらない白銀の峰々が美しくそびえたっていました。

 映画は、ベトナムの悲惨な戦場と平和なペンシルバニアの故郷とを交互に映し、両者の落差を鮮明に描き出し、ベトナム帰還兵の心の闇を鋭く私たちに訴えます。このような人々がワシントンの政治家達への不信感につながり、昨今のトランプ現象を支えているような気が私には感じるのですが、考えすぎでしょうか。また、のちの名優メリル・ストリープがこの作品で本格的な映画デビューを果たした記念碑となる映画でもあります。

 ディア・ハンターは、U-NEXTの無料トライアルで全編視聴可能です。

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