まささん、映画「愛と喝采の日々」を語る

1970年代アメリカ映画
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1970年代のアメリカ映画の思い出㉓(私の映画体験㉚)

愛と喝采の日々

 今回は、1977年制作のハーバート・ロス監督の「愛と喝采の日々」です。「我々が人生の別れ道にさしかかった時になす決定が、その後の人生にいかなる影響を及ぼすのかを、この映画で描きたかった。」と監督のハーバード・ロスが語っているこの映画は、原題を「ターニングポイント」(転機)と言い、かつて同じバレエ団に属し、親友でありライバルでもあった二人の女性のそれぞれの転機に直面しそれぞれの道を選んだ後、20年後に再開する物語です。二人の名優シャーリー・マクレーンとアン・バンクロフトの火花の散るような共演が見ものです。

 あらすじは、バレエ教室を経営するディーディー(シャーリー・マクレーン)は、かつての親友で現役のプリマドンナであるエマ(アン・バンクロフト)と20年ぶりに再会します。娘エミリア(レスリーブラウン)のバレエの才能に自らが果たせなかった夢を託したディーディーでしたが、エマとエミリアの親子のような親密さに嫉妬してエマを罵り、思いのたけをぶつけます。ディーディーはあの時、自分が妊娠しなければ、そして結婚しなければ、エマの栄光は自分のものだったかも知れないと叫んでいる心の声を聴きます。一方、エマもダンサーとしての峠を越えたと自覚し始め、必死でプリマの座にしがみつきながら、結婚して、子供を産んだ人生を選んだディーディーをうらやみます。エミリアの舞台の後、二人は過去やエミリアのことで口論となり、お互い抑えていた思いをぶつけ合い、つかみ合いのけんかを始めます。しかし、二人は若き日の、目の前にあると思われた無限の可能性に思いをはせながら、ラストシーンではしみじみと友情をかみしめながら肩を組み合いこう言いあいます。「望み通りの人生を選んだのよ。あなたも私も。」

 この映画はバレエの振付師でもあっつたハーバード・ロス監督と、本作の製作総指揮を務めた、監督の妻のノラ・ケイ、自らもトップ・バレリーナとして活躍してきて、いつかはバレエの世界を背景にした映画を撮りたいと願ってきた彼女にとっても念願の映画でした。それにしても素晴らしいバレエシーンの数々。エミリア役のレスリー・ブラウン相手役のミハイル・バリシニコフはともに本職のバレエダンサー。このバレエシーンを見るだけでもこの映画は見る価値があります。
 

 この映画では、シャーリー・マクレーンとアン・バンクロフトともにアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。アン・バンクロフトは「奇跡の人」で主演女優賞を取っているのですが、シャーリー・マクレーンは4回ノミネートされるも一度も取っていませんでした。しかし、とうとうその時がやってきました。1983年の「愛と追憶の日々」で主演女優賞を受賞します。そこら辺の話は川本三郎氏の「アカデミー賞」(中公文庫)(アカデミー賞のエピソードを集めた楽しい本です。)で詳しく書かれていますが、彼女は受賞のスピーチでこう言い放ちます。「思い切って言うけど、貰って当然だと思うわ。」会場の聴衆はその発言に対して万雷の拍手をもって賛意をあらわします。まさに名優ここにあり。素晴らしい女優ですね。

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