1970年代のミュージカル・音楽映画の思い出⑲(私の映画体験72)
映画「トニー」(Tommy)を語る
初めに
今回は、1975年制作のケン・ラッセル監督、ロックオペラ「トミー」を紹介します。この映画も私の好きな映画の一つで、全盛期のブリティッシュロックを象徴する意味でも記念碑的な作品です。大好きなアン・マーグレットも出ていますしね。
あらすじ
ウオーカー大佐(ロバート・パウエル)は、身重の妻ノラ(アン・マーグレット)を残して、第二次世界大戦に従軍します。しかししばらくしてノラの下に大佐が戦場で行方不明になり、戦死したのではないかとの通知がきます。ノラは悲しみますが終戦の日、男の子トミー(青年期以降ロジャー・ダルトリー)を出産します。
戦後ノラは、幼年期に入ったトミーを連れてホリディキャンプに参加します。そこで世話係をしていたフランク(オリヴァー・リード)と恋に落ち結婚します。新婚生活を送るベッドに2人いるとき、生きていたウオーカー大佐が現れます。驚いたフランクは大佐を殺してしまいます。一部始終を観ていたトミーにフランクとノラは、「お前は何も見ていない。何も聞いていない。何もしゃべれない。」と言います。そしてトミーはそれ以来、何も見えない、聞こえない、話せないの三重苦になります。
トミーを治す為にノラは、麻薬を扱うアシィドクイーン(ティナ・ターナー)や新興宗教の伝道師(エリック・クラプトン)などのところにトミーを連れて行きます。しかしトミーの症状は良くなりません。トミーが心を開くのは、大きな鏡に映る自分の幻影だけでした。
そんなある日、トミーはとあるスクラップ置き場に迷い込みます。そしてそこにあった壊れかけのピンボール台に触れ夢中でピンボールを始めます。ピンボールのとりことなったトミーはどんどんうまくなり、ついにピンボールの世界チャンピオン(エルトン・ジョン)に挑戦して見事倒します。三重苦のトミーの活躍に世間は熱狂して一躍有名になります。
しかし、ノラはそんなトニーを見ても心が晴れません。いつも大きな鏡を見ているトミーに悲しみと共に怒りに任せてトミーを鏡にぶつけます。鏡は大きく割れ、この事態の中でトミーの目も耳も口も元通りになります。この状況に狂喜した大衆はトミーを新興宗教の教祖に祭り上げます。その新興宗教のサマーキャンプをフランクが取り仕切り、大量のグッズを売り上げて大儲けをしますが、信者たちは何の効果もないのに怒って、暴動を起こし、フランクとノラを殺してしまいます。トミーも悲嘆にくれますが自分は真に自由になったのだと感じ新しい道を歩き始めます。
綺羅星のごとくのロックスター達
この映画には、多くのロックスター達が出演しています。
まずはティナ・ターナー。アシッドクイーンとして”気難しい女王”を歌います。注射器をもってトミーにせまっていく様は、まさに「いかがわしい」極み。この役は他の女性ロックシンガーの誰ができるだろうと考えても思い浮かばないぐらい適役です。
次はエリック・クラプトン。マリリン・モンローの巨大な像の前でエレキギターを弾きながら”光を与えて”を歌う伝道師を務めます。そして相変わらずのギタープレーを見せてくれます。
最後はエルトン・ジョン。ピンボールのチャンピオンとして”ピンボールの魔術師”を歌います。私はこの映画ではこの曲が一番好きなんですが、彼と観客とのコール&レスポンスは見事です。それもそのはずで音楽監督をロックバンドザ・フーのギターリスト、ピート・タウンゼント、主役のトミーを同じくザ・フーのボーカリスト、ロジャー・ダルトリーと言うことでまさにブリティッシュロック臭満載の曲のオンパレードになっています。
そしてフランク役のオリバー・リード。この人は前も言いましたが、歌も踊りも決してうまくないんですが、なぜかこの手の映画が似合う不思議な人です。
そしてなんといってもノラ役のアン・マーグレット。さすがに昔の様なキレッキレのダンスは観れませんが、相変わらずの歌声を聞かせてくれます。しばらく低迷していましたが、この映画で復活。この年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
最後に監督のケン・ラッセル。彼は過去に「恋人たちの曲」や「ボーイフレンド」などを撮り、この手の映画はお手のもんですが、それにしても相変わらず原色を強調した画面に突然の場面転換など、ラッセルタッチの映像を私たちに見せます。この手法は1980年代MTVに大きな影響を与えたと言われています。興味のある方は何でもいいですから彼の映画を観て下さい。面白いですよ。
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トミーは、Amazon prime videoで視聴することができます。
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